Gerateria SINCERITA

Blog: ジェラートマイスターのブログ

いつも、ジェラートのことを考える。
いつも、どうすればもっと美味しく作ることが出来るか考える。
そういうプロセスが大切だと思うから、少しだけ書き連ねていこうと思う。

どんなメディアよりも、自分の言葉が一番しっくりくるものです。
ちょっとしたお知らせとか、ちょっとした思い付きとか、
自分の言葉で伝えたいことを
ゆるりとお伝えしようと思います。


不完全な美味しさ。

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画像:不完全な美味しさ。

今年に入ってからハマっていることの一つに、茶室の文化やそれに関わる茶碗であるとか、関わるグッズや考え方があって、色々調べたり読んだりしている。元々、昔から好きなジャンルではあったし、自分の考え方にも合致することも多くてジェラートにも取り入れているところもあるんじゃないかと思う。

その中で、以前からある程度意識はしていた「不完全な美味しさ」や「不均一な美味しさ」みたいなことがあって、そのあたりをより意識してジェラート作りに活かしてみようと試している。

これは最初からではあるけど、例えば、「メルノワ」というフレーバーは、蜂蜜ミルク味のジェラートにローストしたくるみがゴロッと入っているのだけど、焼いたくるみは敢えてミキサーなどにかけず、アナログに木の棒で荒く潰して混ぜ込んでいる。
細かな部分もあれば、粒が大きなくるみが入っている部分もある。こういうことって、意外と難しくて、コンビニアイスのように製品化されたものだと、やっぱり均一に入れないと問題になってしまうだろう。
ある種の雑さというのは、人のぬくもりを感じたり、手作り感を感じたりするもので、そのあたりのバランスはいつも考えて作るようにしている。

先月のフレーバーの「甘夏フロマージュ」は、新しい試みを取り入れて作ったフレーバーである。
甘夏フロマージュは、クリームチーズとマスカルポーネを混ぜ込んだミルク系のジェラートで、レモンを加え、より酸味を際立たせたクリームチーズの味わいがベースとなっている。
そこに、甘夏のピールを擦ったものを香りとして加え、薄皮を砂糖に漬け込んで苦味を抽出し、それをベースに混ぜ込むことで甘夏らしい苦味を出している。

ここまででも、良い甘夏風味が出ているが、甘夏の良いところはやっぱり果肉。果肉の粒がしっかりしていて、プリッとしている。その果肉を潰さないように綺麗に取ったものを一旦冷凍して、ジェラートが仕上がったところでマシンの中で軽く撹拌して中に混ぜ込んでみた。

茶碗は高温の窯に入れて焼いて作られるのだけど、一級品となると窯の中の様子を想像しながら、ある種の偶発性みたいな部分が上手く作用した時に素晴らしいものができることもあるそうだ。
そして、その偶発性が起こるかもしれない、起こるであろう状況を作りながら、勝負しながら茶碗を作る話を聞いて、これは面白いと思った。

この茶碗の焼き方の話を踏まえて、甘夏フロマージュの最後の仕上げに冷凍した果肉を入れる作戦を思い付いた。
というのも、液体の状態でできる限り数値化したジェラートがジェラートとして仕上がっているのに対し、そこに冷凍した甘夏果肉を放り込んだ場合、どれくらいその果肉が潰れて、果汁となり全体に混ざるのか、どれくらい果肉が残るのか、こればっかりは放り込んである程度、撹拌してみないことには分からない。ある程度、予測して予め、液体の状態で少し甘めに、少し柔らかめにしておいて、良いバランスでまとまるように意識して配合は考えてみて、これは結構、功を奏して良い仕上がりになったなと思っている。

完璧に考え抜かれた美味しさよりも、ちょっと物足りなさがある方が美味しい記憶になることも多々ある。

そして、そんな人の手仕事が感じ取れるジェラートを作っていけるといいなと思う。

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