Gerateria SINCERITA

Blog: ジェラートマイスターのブログ

いつも、ジェラートのことを考える。
いつも、どうすればもっと美味しく作ることが出来るか考える。
そういうプロセスが大切だと思うから、少しだけ書き連ねていこうと思う。

どんなメディアよりも、自分の言葉が一番しっくりくるものです。
ちょっとしたお知らせとか、ちょっとした思い付きとか、
自分の言葉で伝えたいことを
ゆるりとお伝えしようと思います。


pozzetti。

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画像:pozzetti。

今回の改装のスタート地点はとてもシンプルで、厨房の老朽化という問題はあるにしろ、「より美味しいジェラートを提供したい。」というところでした。
やっぱり、ジェラテリアである以上、ジェラート職人である以上、より美味しいジェラートを食べてもらうことが、ある意味全てであると考えるからです。

美味しいジェラートを作ることと、提供することは必ずしもイコールという訳ではありません。

美味しいジェラートを作るにはジェラートを作る機械が必要ですが、良い状態で提供するためにはジェラートを入れておく入れ物が必要です。
所謂、ショーケースと呼ばれるものです。

この8年間、ずっと悩まされてきたのは「ジェラートを美味しい状態で保ち、提供する」という部分でした。
今使っているショーケースもしっかり全体を冷やし、空気を循環させて良い状態を保てるのですが、空気に触れる回数が多いこともあり、酸化による劣化や温度の上下が繰り返されることで氷の結晶が肥大化してしまい、どうしても美味しい状態を維持することに限界がありました。
自分たちなりに工夫しながらしっかり使いこなしてはいましたが。

それと、この数年間、毎年1度はイタリアに訪れて、確かな情報を元にジェラテリアを色々見てきたところ、大抵、良いジェラテリアでは「pozzetti(ポツェッティ)」と呼ばれるショーケースが使われていました。

イタリア語で小さな井戸を意味する「pozzetto」の複数形で、小さい井戸がたくさん並んでいるイメージです。日本では「壺型ショーケース」と呼ばれていて、日本でもここ数年で導入するお店が増えているようです。

ポツェッティの良いところは、壺型の入れ物にジェラートが入っていて、フレーバーごとに壺に収まっていて蓋がされているので、空気に触れる回数が少ないことと、ショーケース自体が密閉されているので温度の上下が少ないことです。
見た目はスープストック東京を思い出してもらうとほとんど同じ状態です。

ポツェッティは、冷やし方の違う2種類があります。
一つは今使っている見えるタイプのショーケースと同じように、空冷式と言って冷気でショーケースを冷やすタイプです。冷凍庫のようなものです。
もう一つは、グリコール液で冷やすタイプのもので、保冷材の中の液体のようなもので、冷凍温度の液体で冷やすタイプのものです。

今回、後者のグリコール式のショーケースを導入することにしました。
日本ではまだほとんど導入実績がないので、ちょっと怖いところもあるのですが、イタリアでは割と流通はしていて、聞いた話ではpozzettiにするならグリコール式でないと意味がない!と豪語するイタリアのジェラート職人もいました。

一番のメリットは、保冷材を思い出してみて分かるように、一度冷えた液体は温度が非常に上がりにくいということです。
ジェラートにとっては一番心地よい状態であるとも言えます。

尚且つ、温度が保たれる分、電力をあまり使わないので省エネでもあります。

それに、今回作ってもらったポツェッティは温度帯を3パターン変えることができる仕様にしました。
これもこれまで歯がゆい部分があって、例えば、お酒をたっぷり使ったフレーバーはどうしても他のフレーバーと同じ温度設定にした場合、お酒の効果でゆるいジェラートになってしまいます。そういう場合に、お酒を使ったフレーバーは温度を低い壺に入れておくというような使い方もできます。
また、時々やっていたグラニータも温度帯を変えることでジェラートと同じ並びに入れておけるので、夏場にはグラニータもやりたいなと思っています。

デメリットも幾つかあります。
一番に思い浮かぶのはジェラートが見えないということ。
綺麗な色をしたジェラートが全く見えません。色とりどりの良さが発揮できず、どうしても殺風景になってしまいます。知らずにお店に入ってくると何屋さんか分からないでしょう。
イタリアでは昔からあるタイプのショーケースなので問題ありませんが、日本のようにジェラート自体がまだまだ定着していないことを考えると大きなデメリットであると言えましょう。

テクニカルな部分では、ジェラートを盛り付ける方法が今使っているようなショーケースとかなり違います。ジェラートを盛り付けたことがある人しか分からないかもしれませんが、壺の中にジェラートが入っているので、上から垂直にしかアクセスできず、慣れるまで盛り付けるのが難しそうです。
それに合わせて、シンチェリータのジェラートは一般的なジェラートよりも少し固めでショーケースに入れていたので、同じような固さで作ってしまうと上手い具合に盛り付けることが難しいと考えられます。

これまでの経験と知識だとだいたいこんな感じです。
とは言え、実際、お店を営業して使ったことがまだないので、ほとんど想像の範囲です。

ちょっと長くなりましたが、このpozzettiを導入することのメリットとデメリットを理解した上でどのように活かせば良いかを考えるところから、リスタートプロジェクトが始まりました。

そして、イタリアのメーカーに特注で作ってもらった我らのpozzettiはただ今、船に揺られて日本に向かっています。

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