Meister's Blog自分の言葉でお伝えします。

Posted on 04.07.2013 10:19pm

相棒。

相棒との出会いは3年ちょっと前のことでした。
シンチェリータを始める前にやっていてジェラテリアのお客さんとして来てくれていて、その時は会ったことはありませんでしたが、妙にしつこくジェラートについて色々聞いてくる人がいたよと販売のスタッフから聞いていました。
何度かジェラートを食べに来てくれていて、ジェラートに興味を持ったらしく連絡先を聞いてもらっていたことが始まりでした。

その後、シンチェリータを始めるにあたって、最初は3店舗同時オープンということで、さすがに一人では作りきれないなと言うことで、製造スタッフを探すことになった時に、そう言えばということで、その時もらった連絡先に電話して、確か銀座で初めて会ったことを覚えています。

最初会って話した印象は、正直、僕たちに共通点と言えるような部分はあまりなかったなということでした。僕の方が「食」という分野での仕事の経験は少なく、どちらかと言えばゆるいタイプですが、彼はガッツリ体育会系の中でずっと厳しく生活していましたし、あまり積極的でない僕とは対極に位置するようなタイプだなと感じたのも覚えています。

ただ、共通のことも幾つかありました。好奇心旺盛でチャレンジ精神に溢れるところもそうですが、何より、ジェラートを始めようと思ったきっかけでした。
僕は元々インテリアデザインの仕事をしていて、世の中的に所謂、有名な方の元で働いたこともありますし、大きな会社の中でも働いたことがありましたが、どこかで自分の力の限界とその世界でずっと戦っていく覚悟みたいなものが持ち続ける自信みたいなもののなさを感じて辞めた経緯があります。
彼もまたパティシエという世界の中でずっと努力してきた中で同じような限界と言いますか、僕が感じたようなことを話していたことをよく覚えています。

なので、僕たちのジェラートを始めるきっかけは少し似たようなところがあったのかもしれません。
そして、何より当時は今以上にジェラートの事を全く理解していなかったにも関らず、僕が作ったジェラートに何かを見出してジェラートをやりたいと思ってくれたことは素直にとても嬉しいことでした。

そんなこんなで、シンチェリータを始めるちょっと前に出会い、そこから文字通りゼロからシンチェリータというジェラテリアを一緒に作り始めました。僕は元々あまり組織に属するのが得意でなかったし、誰かに何かを教えるということも得意な方でもないので、完全に二人で作るという仕事に対しての不安感はありました。
縦社会で生きてきた彼は、上に対しての姿勢みたいなものが身に付いていて、何でもそつなくこなし、次何をすれば良いかを考えて最初から行動していたように思います。僕のように割といい加減と言いますか、ゆるい感じに慣れてなかっただろうし、戸惑うことも多かっただろうと思いますが、そんな素振りも見せずいつも真っ直ぐにジェラート作りに対して向き合っていたように思います。

本当に大変だったオープン時も、失敗続きだった多店舗展開も、リニューアルして少し上向きになってきた時も、フジロックの失敗も、そして今も。全て一緒に経験しました。
そして、元々僕はあまりコンテストとか競争ごとに興味がなかったのですが、チャレンジ精神旺盛な相棒が行きましょう!と誘ってくれたから、イタリアでのジェラート大会にも参加することが出来、良い結果も残すことが出来ました。

今ではほとんど指示する必要もなく、それこそ阿吽の呼吸とまではいきませんが、仕事をする上で、とても効率良く、良い仕事が出来るようになりました。味作りに関しても、僕の好みを理解しそれに沿ったような仕上がりを常に考えくれ、秋冬に登場する焼き菓子もシンチェリータらしい仕上がりになってきました。
本当に今のシンチェリータがあるのは彼のおかげである部分が大きいです。

そして、この3年間本当に殆ど毎日一緒に過ごした相棒であり戦友である肥田野くんは、今月いっぱいでお店を去ることになりました。
最初から彼自身が独立することを前提として一緒にお店を始めたので、この日がやって来ることは分かっていました。独立に向けて前に進むという意味でお店を去り、ちょっとイタリアに行きたいとも言っていますし、また経験を積んで、きっと素敵なジェラテリアを近いうちに作ってくれることだと思います。

経験値的にも、センス的にもきっと僕より美味しいジェラートを作るようになるんだろうなと思うし、負けないように僕自身また頑張らねばとも思います。

という訳で、引継ぎなども含めて来週からは新しいジェラート作りをするスタッフが増えます。
今度は全くの未経験からのスタートなので、正直全てが不安です。秋冬対策もまた一から考えないといけませんし、日々の仕事の流れも、ちょっとした「適当にやっておいて。」という言葉が使えなくなるかと思うと、心配でなりませんが、4年目に突入したところで、また本当の意味で初心に戻れるのでまた新たな気持ちでジェラート作りに望みます。
こうやって、日本にまた一つ美味しいジェラートが食べることが出来るジェラテリアが増えていくんだろうなと思うと嬉しくもあります。

今月いっぱいでお別れとなる肥田野くんにも是非お声かけください。