Meister's Blog自分の言葉でお伝えします。

Posted on 08.23.2013 6:09pm

そよ風。

昨日、何となく手に取った雑誌を読んでいて、あるデザイナーがクリエイティブの源泉みたいなことについて書かれていて、確かに。と思ったことがあった。

サラッと読んだだけなのでうろ覚えではあるけれど、

「何かを作る時、例えば、海外で見た何かを参考にしたり、他の人が作った物事を参考にしたりすることはなくて、毎日の日常的な中で、ご飯を食べたり、誰かと話したり、本を読んだり、その中でたまたま海外で何かを見たり、誰かが作ったものを見たりすることもあるけれど、そういった日常的な積み重ねをしてきた自分の中にアイデアがあるので、結局のところ、自分と向き合うことが自分のデザインを生み出すことのようだ。」

みたいなことが、ホントに短く掻い摘むと書いてあった。

僕がジェラートを作り始めて、ちょっと経ったくらいの時にスタッフに「中井さんのジェラートは中井さんらしい味がしますね。」と言われて、嬉しかったことをよく覚えている。僕も具体的に僕の味はこうだ!と数値的に決めて作っていた訳でもなく、その当時は今よりも全然、素材についても詳しくなかったし、配合的にもそこまで詰まってはいなかったのだけど、それでも、結果的には自分らしい味に仕上がっていたのは、先に書いたように、軸が自分の中にあったからなのかもしれないなと思う。

僕の中では、経験不足ということがいつもネックになるなと思っていて、例えば、「イタリアやフランスなんかで修行してきました」という人には、その中で学んだ技術的、アイデンティティ的な基礎がしっかりあって、そこから自分らしさを加えていけば、とても素晴らしいものが出来ていくんだろうなと思うので、自分には残念ながらそんな経験は全くないので、僕の場合、いつまで経っても「自分なり」みたいな部分がこれから先もずっと付きまとう。

だから、僕が作るジェラートは、同じジェラートと言っても、イタリアで食べるジェラートとはかなり違う方向性なような気もする。見様見真似で作り始めて、数年が経ってみると、最初よりももっと独特な方向性になってきたのかもしれない。

それは、知らず知らずのうちに今までのジェラートとは関係ない日常の積み重ねが、ジェラートに溶け込み、何となく良い感じに合わさって来たのだと思う。前向きに考えると、全然違う仕事をしていたことも、イタリアに留学したことも、全部その後の事に上手い具合に繋がっているんだろうなと思う。

逆に考えると、そういう基礎がない分、派閥みたいなものとか、形式と言うか、型と言うか、そういったことを全然気にしなくて良いので、ホントに思うがままに、思い付くがままに日々ジェラート作りに取り組めているのかもしれない。

自由気ままというのは、時には楽しく、時には厳しいもので、そこを行ったり来たりしながら、ああでもない、こうでもないと、自分の奥底から何かを引っぱり上げていくようにして、考えを巡らしていく。

僕はどんなに忙しくても、仮に他から見て大きな出来事があったとしても、割と淡々としている。もちろん、時にはイライラすることもあるけれど、同じようだけどちょっとだけ違う毎日をそよ風のように過ごすことにしている。
そうしているときっと、そんなジェラートが作れるようになるのではないかとも思いながら。

そして、まだまだ先は長い。