Meister's Blog自分の言葉でお伝えします。

Posted on 09.17.2016 12:00pm

何が自然で何が不自然なことか。

僕たちは何となく、「より自然なものの方が良い。」という、ある種固定観念みたいなものもあって、そう考えてしまいがちです。オーガニックとか無農薬というのもそういう要素もありますね。

でも、今回、山形県は天童に洋梨とさくらんぼでお世話になっている関農園さんに伺って、色々お話を聞いているとよく分からなくなってきました。

そもそも、山に行って果物の木が自生していたとして、それを食べても美味しい可能性は低いということです。
それが一番自然な状態なはずだけど、美味しいというのとは、違ってきます。
人の手が入って美しい庭園があるように、美味しい果物もまた然りです。

関さんは、生産量を落としてでもより美味しい果物を作っていて、美味しいという付加価値で高めの値段設定で販売するという方法で果樹を生業にされていて、どちらかと言えば、少ない部類の農家さんだと言えます。
同じ面積のさくらんぼ果樹園でも、関さんの果樹園からは通常の半分くらいの量しか収穫できないくらい、間引いてクオリティを上げて作られいるのですが、これはかなり勇気がいることなんだと思います。

より美味しいさくらんぼや洋梨を作るには、自生させて放っておいては絶対にできません。
梅を見てきた時も同じでしたが、葉っぱにより効率良く日が当たるように剪定したり、木の角度を変えてやったり、果実にも日の当たりの具合を人の手によって調整してあげなくてはいけません。
果実もかなり落としていって、残った果実に栄養が回っていくように考えて調整していきます。

全ての条件をより美味しい果物を作るという目的に沿って、栽培されているなと凄く感じました。
そう考えると、もはや人工物であって自然のものではないですね。でも、だからと言って悪い意味で不自然な食べ物という訳でもありません。

元々、美味しい果物というものがあって、人間が後々に手を加えて作ったから元の果物の方が美味しいに決まってると思い込みがちだけど、そうではなくて、美味しい果物を作るにはそれ相応の作り手の努力が必須なんだと改めて知りました。

果物の仕組みをよく理解して、どうすれば果物たちがよりストレスなく、美味しく育つかを逆算して手助けをしていく。
時には病気になったり、外敵にやられたりするのを根気良く見つけ、子供を育てるように対処しながら育てていく。
これが不自然なことかと言うと、そんなこともないと思うし、考えれば考えるほど、何が自然で何が不自然なことなのか分からなくなってきます。

果物の種類によっても全然違うだろうし、生産者によっても考え方が全然違うので、一概に言えないということもあるし、そもそも、日本に元々なかった果物の方が多いかもしれないので、一言では言い表せません。

僕たちは普段、果物をそれほど食べない生活になりがちで、ジェラートを作る仕事をしていなかったら僕も同じように、普段そんなに果物を買うことも食べることもなかったかもしれません。
でも、こうやって産地に行って、生産者のお話を聞くと、例えば同じ洋梨でも、ラフランスもあればバートレットやオーロラとか、形は同じでも違う品種があって、さらには、同じでラフランスでも、隣の果樹園と関さんの果樹園のものでは見るからに違いがあります。

でも、スーパーに行くと、「ラフランス」と売られているし、酷いと「洋梨」という括りにされてしまうこともあるくらいです。
洋梨は洋梨だと思われる人も多いかもしれませんが、作られている環境も違えば作っている人も違います。
僕たち食べる側もまた、そういった意識を少しでも持つことで、作り手のモチベーションが高まることもあるかもしれないなと思います。

作るのもまた同じで人間で、淡々とロボットのように作っている訳ではなくて、「美味しかったよ!」と言ってもらうと嬉しいし、評価されることが大変な農家を続けるモチベーションになるかもしれません。

僕も自分が作ったジェラートが、知らないところで沢山売れてもそんなに嬉しくはないんだと思います。
自分が作ったものに対して、何らかの反応がお客さんからダイレクトにあるから、もっとこうしようとかああしようとか、楽しんでやれています。

そして、農家さんの仕事はただ闇雲に果物を作っても良くなくて、市場の価値や需要、自分たちの生活リズムを考えた生産をしていかないといけないという話もまた大変そうだなと思ったので、長くなりそうなのでこの話はまた次回にでも。