Meister's Blog自分の言葉でお伝えします。

Posted on 02.20.2019 1:03am

原乳の大切さ。

お店の冬季休業を利用して三日間、島根県に行ってきました。東京にいると西の素材が少ないこともあって、初めての訪問となりました。

今回は日本で初めてパスチャライズ牛乳(低温殺菌牛乳)を開発、販売に成功した、木次乳業の見学が一番の目的で、松江や出雲大社なんかもついで寄ってきました。

実は今は全然使っていないのですが、木次乳業さんとは不思議なご縁があって、東日本大震災の時に、今使っている那須の牛乳の流通が止まってしまって、ジェラートが作れなくなってしまった時に、知り合いのジェラテリア の方からご紹介いただいて、難を凌いだということがありました。

その後は、お店では使っていなかったのですが、個人的には牛乳やヨーグルト、チーズなどは時々買っていて、木次乳業自体の歴史を知って、見学してみたいなぁという思いがずっとありました。厚かましいお願いにも関わらず、快く見学を受け入れていただいた上、ほとんど一日中お付き合いいただいて、案内してくれました。

案内してくださった方も、牛舎で牛たちのお世話をしている方々もみなさん、創業者である佐藤忠吉さんの思いをしっかり汲み取って仕事されているんだなぁということがよく伝わってきました。そのあたりは産地の記事にて詳しく書いてみようかなと思っています。

今回、一番勉強になったのは、原乳の重要さと殺菌温度について。
牛乳の殺菌方法については、調べればすぐに分かりますが、高温殺菌と低温殺菌と大きく二つに別れ、その中でも幾つか殺菌方法の違いがあります。後者はパスチャライズド牛乳と呼ばれます。

僕たちが普段使っているパスチャライズド牛乳も大きく二つに方法が別れます。一つは、65℃30分、もう一つは72℃〜75℃で15秒。
木次乳業は商品によって殺菌方法を変えていて、一番、牛乳本来の味を求められた商品には72℃15秒を採用されています。

勉強不足もあって、あまりこの二つの違いについて考えたことがなかったのですが、今回、教えてもらってようやく理解できました。

半分は僕の憶測ですが、72℃15秒というのは、殺菌方法の中では一番攻めたと言いますか
規定の菌数まで抑えるのにギリギリの温度で殺菌されているのだと思います。
僕たちも普段、乳製品を扱っていて、毎年、検査もしているので、ジェラートにおいても菌数というのが規定があってとても大事なのでよく分かりますが、生鮮品において、一般生菌が増えていくのは自然なことで、牛乳ももちろん時間と共に一般生菌は増えていきます。

今回お話を聞く中で分かったのは、結局行き着くのは原乳のクオリティがとても大切だということ。
当たり前のことかもしれませんが、どうせ殺菌するんだから、そんなに違わないのかなという気がしていたのですが、それは大きな間違いで、尚且つ、ある意味、酪農家の方にも失礼な考えだったなと今は反省しています。

例えば、元の原乳の菌数が1万と100万の差があるとするなら(実際、規定では400万以下トンされている)、原乳の菌数が少ない方が殺菌後の菌数も少なくて当然です。

逆に言えば、原乳の菌数が多いとパスチャライズド牛乳を作ることができないということ。
じゃあ、どうすれば良いかというと、最初の話に戻ります。良い原乳を作るということに尽きます。
牛たちをどう元気に育てるか、どう衛生的に育てるかということです。

木次乳業では、直営の牧場と契約酪農家の原乳を使って牛乳を日々作られています。一連の流れも見学させていだきましたが、小さな工場ではありますが、衛生面も検査の工程も細かくしっかり管理されていました。
酪農家のサポート体制もしっかりしていて、みなさんで一丸となって牛たちが元気に育つ環境を作っておられました。

それだけ原乳が大切ということであり、その原乳を生み出す牛たちが大切だということです。
全てが自然ではないし、ある意味ビジネス的に牛たちを育てているという面もあるにしろ、みなさん、牛たちに愛情を持って接しているのがよく伝わってきました。
牛は牛乳を生み出す機械じゃなくて、それぞれ個性もあるし、それぞれ生きているということが身に染みた1日でした。

今回見た牛たちや育てているおじさんたちの姿を思い出しながら、美味しいミルクジェラートを作らねばと思います。