Meister's Blog自分の言葉でお伝えします。

Posted on 09.05.2019 3:47pm

伝えるということ。

ジェラートが日本にやって来て30年ちょっと経った。
僕たちが始めたのは2010年で、その頃はグロムを筆頭にイタリアからそのままジェラテリアを引っ張って来てブランディングするような形でジェラートがちょうど一時期、盛り上がった時だった。
その後は、国産ジェラテリアがチェーン店化するような形も一時期増えたが、それもそれほど長くは続かず、なかなか、ジェラート不遇の時代は続いていた。
でも、ここ数年になってようやく、職人的なジェラート作りをする個人店が増えてきて、ジェラートを理論的に構築し、自分たちなりのオリジナリティを感じさせるお店も増えたように思う。

それは、情報が入り易くなって来たことも大きく起因し、海外の本で勉強することができたり、イタリアでジェラートを学ぶための学校に行くことができたりと、環境が整ってきたことが大きいのだろう。

一方で、レストランや洋菓子、パンなどのジャンルに比べると、どこかのジェラテリアで修行した経験がある人が非常に少ないのがジェラートの分野かもしれない。
それほど製造に人を必要としないことが多く、どこかで働かせてもらいたいと思っても、そんな場所がないという現状もあって、実現しにくい状況と言える。

何でもそうだけど、本を読むことで、学校に通うことで、ある程度のことはできてしまうかもしれない。でも、リアルな現場にいて、そこにいる人たちと一緒に仕事をしなければ、感覚として分かりにくいことも多々ある。
僕の場合は、成り行きでほとんどそんな経験もなく、ジェラートのこともそこまで理解していない状態でお店を始めることになってしまったので、今でも全てが手探りで今に至る。

それでも、気が付けば10年近く同じ場所で、同じようにジェラートを作り続けて、一緒に仕事をして来た仲間が2人、自分のお店を持ってジェラテリアをやっている。
そして、先月、もう1人、独立すべく旅立って行った。

僕自身、ほとんど独学ということもあって、あまり自分のやり方や考え方が正しいとは思っていないのだけど、それでも、自分が教えれることは自分のやり方でしかないので、しょうがないなと思いつつ、上手く伝えることができたかなぁと少し不安でもある。

誰かに何かを教えるということは、本当に難しいものだなぁと痛感した2年間だった。
テクニカルなことや理論的なこと、経験則的なことなど、教えることは沢山あるけれど、たぶん、大切なことは伝えることそのものなのだと思う。
店として、店主として、職人として、伝えたいという姿勢そのものがきっと大事で、そこから、何かを感じ取ってもらうというところに師弟の意味があるように思う。

そうやって思いを紡いでいくことで、ジェラートが一つの文化となっていくのではないだろうか。
商業的、広告的に広がることも多いけれど、それと同時に、強い気持ちと少しの希望を持った人がいなくては、新しい文化になり得ないように思う。

伝承。というと少し大げさだけど、何かを伝えることができていたらいいなと思うし、ジェラートを通して知り合った仲間が上手くいくといいなと切に願う。